顧客満足度アップ!現場で使えるPMBOKスコープマネジメントの基礎知識と実施作業を身につけよう!

スコープマネジメント プロセス PMBOK CS プロジェクトマネジメントスコープマネジメントはプロジェクトを成功させるために必要な管理手法です。
しかし、スコープマネジメントと一言で言ってもその領域は多岐にわたり、何から手をつけていいか混乱してしまいます。

  • スコープマネジメントの基礎知識を理解したい
  • スコープマネジメントの実施作業を身につけて現場で活用したい
  • スコープマネジメントの成果物の作り方を知りたい

といったお悩みを抱えてはいないでしょうか?

本記事では、そんなお悩みを解決するためにPMBOKに基づいたスコープマネジメントの基礎知識から実施作業、成果物を詳しく解説します。

基礎知識だけを覚えても意味がありません。基礎知識を踏まえて実施作業を身につけ、成果物を作成できるようになってこそスコープマネジメントを現場で活用できるようになります。

PMBOKスコープマネジメントの確かな力を身につけるためにぜひご活用ください。

 

 

1. PMBOKスコープマネジメントの基礎知識

スコープマネジメントはPMBOKの一領域です。そのため、まずはPMBOKについてその中身を見ていきましょう。

PMBOKとは、Project Management Body Of Knowledgeの頭文字をとったもので、プロジェクトマネジメントのノウハウや知識をまとめた資料です。
10の知識エリア
5のプロセス3のパート(入力・ツールと技法・出力)に分かれており、以下の表のようになっています。

スコープマネジメント プロセス PMBOK CS プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメントに必要な知識を知識エリアごとに分け、実施すべき作業が各プロセスに割り振られています。
そして、実施作業に必要な材料やそれを加工するツール、最終的に作るべき成果物がパートに分かれ記載されています。

本記事ではスコープマネジメントに絞ってその内容を解説していきます。

 

1-1.スコープマネジメントとは

PMBOKにおけるスコープマネジメントとは、プロジェクトの最終成果物を明確にし、必要な作業範囲を管理することです。プロセスの側面から見てみると、「計画プロセス群」「監視・コントロールプロセス群」に分けられます。

計画プロセス群はプロジェクトの計画時に実施する作業、監視・コントロールプロセス群はプロジェクトの実行を通して実績を監視し、計画とのギャップをコントロールする作業です。

スコープマネジメント プロセス PMBOK CS プロジェクトマネジメント

 

1-2. スコープマネジメントの目的

スコープマネジメントが最終成果物と作業範囲を管理することはお分りいただけたと思いますが、プロジェクトにおいてなぜ必要になるのでしょうか?
その答えは、顧客のニーズを満たし、顧客満足度(customer satisfaction、CS)を高めるためと言えます。

プロジェクトは顧客の目的を満たすために発足し、必要な成果物を定められた期間内に予算を超えることなく高品質で作る必要があります。そこで、顧客の目的を達成するために必要な成果物を明らかにし、期間や予算、品質に応じた作業範囲を管理するためにスコープマネジメントが必要になります。

顧客の目的を満たすために顧客から寄せられる要望は多岐に渡ります。
しかし、定められた期間や予算がある以上、全ての要望を実現することはできません。
顧客の要求事項を整理し、本当に必要な要素だけを最終成果物や実施作業として落とし込むことがスコープマネジメントの目的となります。

 

1-3. スコープマネジメントの注意点

顧客の要望から必要な機能を落とし込むのがスコープマネジメントの目的ですが、顧客の要望を全て鵜呑みにしてはいけません。
顧客の要望が目的に合致していない可能性があるからです。
組織によっては一部の人しか要求事項の作成に関わっておらず、権力のある人の声が大きくて不必要な要望が紛れていることがあります。

顧客の真のニーズを満たすためには顧客と信頼関係を築き、その要望に関係が深い部門との関わりが必要です。
目の前の担当者だけでなく、要望に関係が深い人もプロジェクトに巻き込み、真のニーズを引き出すことが求められます。

 

2.PMBOKスコープマネジメントの実施作業

スコープマネジメントの基礎知識については理解していただけたと思いますが、基礎知識だけではスコープマネジメントを現場で活用することはできません。実施作業と成果物を実際に作成することで、現場で活用できる力を身につけることができます。それでは、スコープマネジメントのプロセスごとに実施作業と成果物を見ていきましょう。

スコープマネジメント プロセス PMBOK CS プロジェクトマネジメント

 

2-1.スコープ・マネジメント計画

スコープ・マネジメント計画とは、スコープの定義や文書化、検証、マネジメントの方針を作成するプロセスです。
スコープ・マネジメント計画以降のプロセスでは実際に顧客の要求を収集し、スコープを定義、検証、マネジメントしていきますが、本プロセスではそれをどのように行なっていくかを示したガイダンスの役割を果たします。

プロジェクトの基本事項が記載されたプロジェクト憲章やプロジェクト・マネジメント計画書をもとに、会議や専門家の判断を通じて、最終的にスコープ・マネジメント計画書と要求事項マネジメント計画書を作成します。

 

<スコープ・マネジメント計画書>

スコープ・マネジメント計画書はスコープの定義や文書化、検証、マネジメントをどのように行なっていくかを記載します。
具体的にはWBSの作成方針やスコープの妥当性を確認する際の基準を明記します。

 

<要求事項マネジメント計画書>

要求事項マネジメント計画書は顧客の要求をいかにして収集し、整理していくか、その方法を文書化したものです。顧客の要求事項を収集する方法やスケジュールを明記します。

 

2-2. 要求事項収集

要求事項収集は、顧客やスポンサーといったステークホルダーのニーズを定義し文書化するプロセスです。
統合マネジメント領域で作成されたプロジェクト憲章とコミュニケーションマネジメント領域で作成されたステークホルダー登録簿をインプットとして使用します。

プロジェクト憲章にはプロジェクトの基本事項であるプロジェクトの目的や主要成果物が記載されています。
この段階ではステークホルダーのニーズが抽象化されたままなので、ステークホルダー登録簿に記載のステークホルダーをインタビューし、ニーズを具体化した要求事項文書を作成します。要求事項はステークホルダーからニーズを聞き出していくにつれ、段階的に詳細化されます。

また、要求事項が適切に処理され、スコープや最終成果物に落とし込まれているかを確認しなければ要求事項を作る意味がありません。
要求事項トレーサビリティ・マトリックスを作成し、プロジェクトのライフサイクルを通して要求事項を追跡します。

 

<要求事項トレーサビリティ・マトリックス>

プロジェクトのライフサイクルを通じて要求事項の追跡のために使う表のことです。主に要求事項の発生源や優先順位、承認・変更などの状況が記載されます。

 

2-3. スコープ定義

スコープ定義は、要求事項を踏まえプロジェクトのスコープをより詳細に定義するプロセスです。
プロジェクト憲章と要求事項収集で作成した要求事項文書をもとにプロジェクト・スコープ記述書を作成します。

インプットからプロジェクトの要素成果物と作業を詳細に記述する必要があるため、顧客の関係部門および開発担当者といった専門家を含めて具体化していきます。
従来の要求では実現が難しい場合も代替案を練り、要求事項実現のためアプローチしていきます。

 

<プロジェクト・スコープ記述書>

プロジェクト・スコープ記述書はプロジェクトのスコープを詳細に定義した文書です。定義すべきスコープは、プロジェクトが創出するプロダクトやサービス、所産に特有の特性や機能を表す成果物スコープと成果物を生みだすために必要な作業を表すプロジェクト・スコープがあります。

スコープマネジメント プロセス PMBOK CS プロジェクトマネジメント

 

2-4. WBS(Work Breakdown Structure)作成

要求事項文書およびプロジェクト・スコープ記述書からプロジェクトの要素成果物と作業をWBSに落とし込むプロセスです。WBSを作成することで必要な作業を明確にし、スケジュール作成や工数見積もりを行うことができます。

WBSの作成には要素分解といった技法が用いられ、階層構造に分解することでスケジュールやコスト見積もりの対象となるワークパッケージまで落とし込みます。

 

2-5.スコープ妥当性確認

完成した要素成果物を顧客やスポンサーがレビューし、公式に受け入れるプロセスです。
成果物が要求事項と受入れ基準を満たしているか検査を実施します。
品質マネジメントの品質管理プロセスで品質が確認された確認済み要素成果物が顧客に正式に受け入れられることで受入れ済み要素成果物となります。

スコープマネジメント プロセス PMBOK CS プロジェクトマネジメント

 

2-6.スコープ・コントロール

プロジェクト・スコープと成果物スコープを監視し、スコープ・ベースラインに対する変更を管理するプロセスです。要素成果物の作成状況とスコープ・ベースラインの差異分析を行って差異を確認し、スコープ・ベースラインに沿うように是正処置案を作成します。
是正処置は統合マネジメントの統合変更管理プロセスに対して変更要求を行うことで処理します。
スコープマネジメント プロセス PMBOK CS プロジェクトマネジメント

 

3. まとめ

スコープマネジメントは顧客の満足度を高めるために必要不可欠です。
品質や費用、納期はもちろんのこと、顧客の目的を理解してニーズを引き出し、目的達成のために必要なものは何かを明確にする必要があるからです。

目の前の担当者だけでは真のニーズを引き出すことはできません。要望に関係が深い人に必ずアプローチして、本当に必要なものを追求していくことで適切なスコープを設定することができます。

今回は、スコープマネジメントの基礎知識実施作業、成果物について見てきました。基礎知識を理解するだけなら簡単ですが、それだけでは力が身につきません。
プロジェクトを通して、実施作業を行い、成果物を作成することで現場でも活用できる力になります。本記事を参考にして実際に手を動かし、スコープマネジメントを身につけてください。

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