コストを予算内に収める!PMBOKコストマネジメントの基礎知識と実施作業を徹底解説!

コストマネジメントコストマネジメントはプロジェクトを予算内に収めるために必要不可欠です。なぜならプロジェクトの予算は常に限られているからです。そのため、見積もりの精度を上げ、プロジェクトを通してコストをコントロールしなければなりません。しかし、コミュニケーションマネジメントをいざ実践しようにも伝達する情報や時期、手段などを理解しなければ手がつけられません。

 

  • コストマネジメントの基礎知識を知りたい
  • コストマネジメントを現場で使える力を身に付けたい
  • コストマネジメントの成果物を知りたい

といったお悩みを抱えてはいませんか?

本記事では、そんなお悩みを解決するためにPMBOKにおけるコストマネジメントの基礎知識や実施作業を解説します。

基礎知識だけでは現場で使える力は身につきません。実施作業を通して成果物を作ることで、コストマネジメントの実践的な力が身につきます。

現場で使えるコストマネジメントの力を身につける際にぜひご活用ください。

 

1.PMBOKコストマネジメントの基礎知識

コストマネジメントはPMBOKの一領域です。そのため、まずはPMBOKの全体像から見ていきましょう。

PMBOK コストマネジメント

PMBOKProject Management Body Of Knowledgeの略で、プロジェクトマネジメントの手法やノウハウをまとめたガイドです。10の知識エリアと5のプロセス、3のパートに分かれており、プロジェクトマネジメントに必要な知識が体系立てて理解できる構成になっています

プロセスにはプロジェクトのライフサイクルに合わせて実施する作業がまとめられています。また、パートは成果物を作る材料となるインプット、インプットを加工するツール、最終的な成果物であるアウトプットがそれぞれ記載されています。

本記事では、コストマネジメントについて解説します。

1-1.コストマネジメントとは

PMBOKにおけるコストマネジメントとは、プロジェクトを予算内で完了させるために必要なコストの見積もりや予算設定、コントロールの活動を表します。プロセスの側面から見てみると、計画プロセス群と監視・コントロールプロセス群に分かれています。

PMBOK コストマネジメント 概要

計画プロセス群はプロジェクトの計画時に、監視・コントロールプロセス群はプロジェクトの実行を通して実施されます。

1-2.コストマネジメントの目的

承認された予算内でプロジェクトを完了させるのがコストマネジメントの目的です。予算は無限にあるわけではなく、限られた予算でビジネスニーズを満たす必要があります。
ビジネスニーズを解決するソリューションがいくら優れていてもコストに見合わなければ意味がありません。
プロジェクトの現実的な予算を設定し、コストを超過させないためにもコストマネジメントが必須です。

1-3.コストマネジメントの注意点

プロジェクトのコストは作業や最終的な成果物から必要な人員や機器といったリソースを洗い出し、金額を当てはめて見積もります。
しかし、コストを見積もっても計画通りにプロジェクトが進むことは難しいでしょう。特にプロジェクトが大規模であるほど、その傾向は強くなります。
その原因は計画の段階ではプロジェクトの全体像が見えず、コスト見積もりに必要な情報が不足しているからです。

しかし、情報が不足しているからといって見積もりの精度を低いままにしておいては予算超過に陥る恐れがあります。
そのため、計画の段階で見積もりの精度を上げるために知見を積極的に活用しましょう。
組織内で似たようなプロジェクトを経験している人の知見があれば、必要な作業や起こりうるトラブルを予想でき、見積もりの精度を上げることができます。
組織だけでなく外部に知見を求めるのも有効です。根拠となる情報がないまま見積もりを行うことは避けなければなりません。知見を活用してわからないことをなくしていくことが重要です。

 

2.PMBOKコストマネジメントの実施作業

コストマネジメントにはプロジェクトを予算内に完了させるために必要な作業がまとめられています。
それでは、実際にコストマネジメントで実施する作業について解説します。

PMBOK コストマネジメント プロセス

2-1.コスト・マネジメント計画

コストマネジメントを実行するにあたり、まずは方針や手順を決めていかなければなりません
そのため、コスト・マネジメント計画プロセスでは、プロジェクトを通したコストの計画やマネジメント、支出、コントロールするための方針や手順、文書化を確立します
プロジェクト憲章やプロジェクトマネジメント計画書から予算とコストに関する情報を確認し、専門家や関係者の会議を経てコスト・マネジメント計画書にまとめます。

<コスト・マネジメント計画書>

コスト・マネジメント計画書はプロジェクトマネジメント計画書の補助計画書の一つとして作成され、以下の項目を記載します。

PMBOK コストマネジメント計画書

2-2.コスト見積もり

コストマネジメントの方針や手順が定まったら実際にコストを見積もっていきます。コスト見積もりでは、アクティビティに必要な資源に対して妥当なコストを定量的に見積もる必要があります。プロジェクトにとって最適なコストになるよう内製にするのか委託するのかといった代替案も検討します。
コストの精度はプロジェクトのライフサイクルを通して、情報が集まるにつれて高くなっていきます。コスト見積もりのインプットとして、以下の資料を確認しましょう。

<人的資源マネジメント計画書>

プロジェクト要員の単価や表彰、報酬を確認。

<スコープ・ベースライン>

成果物に関する情報と合わせて、セキュリティやライセンス、許認可といった契約や法律関連の要求事項も確認。

<プロジェクト・スケジュール>

アクティビティに割り当てた資源や量、期間を確認。

<リスク登録簿>

リスク対策費要求を確認。
インプットを元に見積もり手法を用いて最終的にプロジェクト完了のために正当であると思われるコストを定量的に評価したアクティビティ・コスト見積もりを作成します。

<見積もり手法>

コスト見積もりの手法としては主に以下が挙げられます。状況に応じて使い分けましょう。

コストマネジメント 見積もり手法

2-3.予算設定

ワークパッケージやアクティビティのコスト見積もりが終わったら、それらを積算してプロジェクト全体の予算を算出していきます。
アクティビティ・コスト見積もりを元にプロジェクト・スケジュールを把握しながら時系列に予算配分を行い、コスト・ベースラインを作成します。
また、予算は一度に与えられるのではなく、期間ごとに必要な予算が分割されます。予期しないリスクが発生した場合の余裕も合わせて、プロジェクト資金要求事項として予算を要求します。

コストマネジメント 予算設定

2-4.コスト・コントロール

コスト・コントロールは、プロジェクトを監視し、コスト・ベースラインへの変更をマネジメントします。
プロジェクトマネジメント計画書のコスト・ベースラインとプロジェクト資金要求事項で要求した資金を確認し、実績である作業パフォーマンス・データと照らし合わせます。
分析にはアーンド・バリュー・マネジメント法(EVM)が用いられ、コストやスケジュール、スコープを統合的に測定します。
分析した結果である作業パフォーマンス情報とEVMで得られた完成時総コスト見積もりは文書化します。結果からコスト・ベースラインの変更が必要な場合は変更要求を行います。

<アーンド・バリュー・マネジメント(EVM)>

プロジェクトの計画と実績を評価する手法です。出来高、実コスト、計画を比較して、パフォーマンスを測定します。

コストマネジメント コストコントロール

コストの計画と実績を管理するにはプロジェクト管理ツールがオススメです。プロジェクト管理ツール「クラウドログ」は工数の入力や変更などの効率化につながるだけでなく、プロジェクトの状況が一目でわかるレポート機能が搭載されています。
コスト・コントロールでは、いち早くコスト・ベースラインの影響を察知し、対応しなければなりません。迅速な対応にはプロジェクト管理ツールの導入が不可欠です。
プロジェクト工数レポートでは、プロジェクトごとに工数予算と実績を確認することができます。複数のプロジェクトを一括して管理できるので、プロジェクトごとにコストを算出する手間がなくなります。

コストマネジメント プロジェクトコストレポート

 

メンバー工数レポートでは、プロジェクトのチームメンバーの工数予算と実績を一覧で確認することが可能です。
メンバーの要員単価と工数からコストを算出する際に役立ちます。

コストマネジメント メンバーコストレポート

 

3.まとめ

コストマネジメントは予算内にプロジェクトを完了させるために不可欠な手法です。顧客の予算は限られており、コストに見合ったソリューションを提供しなければならないからです。コストを超過すれば顧客の信頼を失うだけでなく、プロジェクト自体が立ち行かなくなります。

コストマネジメントの目的や注意点といった基礎知識から実施作業、成果物まで解説してきました。コストマネジメントの概要を理解することは大切ですが、現場で使える力を身につけるためには実施作業を通して成果物を作る経験が必要です。コストマネジメントはプロジェクトに必ず関わってくるので、実際に手を動かし、実践していきましょう。

また、本記事では工数管理を行うためのサンプルExcelをご用意しました。
外注費や材料費と違って、人件費は見える化が難しい項目となりますので、これを機に工数管理を行い、プロジェクトにかかっているコストを明確に管理していきましょう。

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