中小企業をもっと強くする!テレワークを活用した生産性向上方法

テレワークは、新型コロナ禍における新しい生活様式として、半強制的に実施を余儀なくされました。しかし、依然として中小企業への導入は進んでいない状況です。

中小企業のテレワーク導入が進まない背景には、「自社は小規模でテレワークに適した職種や業務がなく、予算を使ってもメリットを享受できない」という不安があります。「メリットを享受できない」は、本当にそうでしょうか?そこには誤った思い込みも多い可能性があります。この記事では、中小企業へのテレワーク導入の「現状・メリット・生産性向上への活用」などを解説します。

1. 中小企業へのテレワーク導入状況

デルとEMCジャパンは、2020年3月に全国の中小企業(従業員数99人以下)の経営者及び社員2197人に対して実施したテレワークに関する調査結果」を発表しました。概要は以下の通りです。

  • テレワークの導入状況を尋ねたところ、「導入していないが、検討している」が14%、「導入しておらず、検討もしていない」が73%であり、調査時点でテレワークを導入していない企業が87%に上りました。
  • 勤務先がテレワークを導入していない回答者に導入の障壁を聞いたところ、「事業の内容により導入が難しい」が53%と半数以上を占めました。
  • それ以外の要因では、「テレワーク環境の整備」が21%と多く、「予算」の10%、「何から始めてよいのかわからない」の9%、「担当者不足」の8%が続きました。

この結果から中小企業においては、テレワークの導入にまだまだ課題が多いことが分かります。

※参考:デル/EMCジャパン「テレワークに関する調査結果」

2. テレワーク導入による中小企業のメリット

続いて、中小企業がテレワークを導入することによる「メリット」と「導入事例」を紹介します。

2-1. テレワーク導入による中小企業の5つのメリット

中小企業がテレワークを導入することによるメリットとして、次の5つが挙げられます。

2-1-1. 人材不足の解消

テレワーク導入によって今までアプローチできなかった地方在住者にも採用を見込めることで、人手不足を解消できる手段になります。

2-1-2. 業務運営コストの削減

事業運営コストの削減にも繋がります。「オフィスの賃料・空調・照明」「社員の交通費」「事務処理費用」の3つが対象となる主なコストです。   

2-1-3. 生産性の向上

通勤や生産性の低い会議の時間が減少します。各社員がタスクを管理し、成果を意図して、集中して仕事を行うことで、生産性が向上します。

2-1-4. 発信力の強化

Web会議などの通信システムを使って、社内やお客様とのミーティング、採用活動などを行うことにより、発信力を強化すると同時に、企業像への良いブランディングにもつながります。

2-1-5. 助成金の活用

中小企業を対象として、国や地方公共団体がさまざまな補助金制度を設けています。この助成金を活用することで、導入経費を低く抑えることができます。

以下に記載したのは、中小企業事業主を対象とした助成・補助金制度の一部です。

厚生労働省は、中小企業のテレワーク導入を支援しています。詳しくは厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」のページをご確認ください。

経済産業省は、中小企業のITツール導入を支援しています。新型コロナ感染症対策に取り組む中小企業のIT導入を優先的に支援するために、特別枠も創設されました。詳しくは経済産業省「IT導入補助金2020」のページをご確認ください。

2-2. テレワーク導入で効果を上げている中小企業の事例

●株式会社ダンクソフト様(以下、ダンクソフト)

情報サービス業のダンクソフト(社員数25名)では、「いつでもどこでも働ける」を目指し、次のような改革に取り組みました。

  • 全国各地に「サテライトオフィス」を展開し、いつでも誰でもサテライトオフィスで勤務できる
  • 在宅勤務も、対象者を定めず全員がいつでも勤務場所を選択できる

この改革の結果、テレワークにより全国から優秀な人材の採用をできるようになりました。更に、「悪天候により通勤が難しい場合でも業務が滞ることがない」「テレワーク実施企業としてペーパーレスを他社にコンサルティングする」などビジネスの変革にもつながっています。そして、社員のワーク・ライフ・バランスを実現しました。

ダンクソフトの取り組みで特筆すべき点は、働く場所や時間について社員の自主性を尊重することによって「やりがい」と「生産性」が向上した点です。テレワークにより働き方の柔軟性を高めることで、社員の働く意欲を刺激した改革といえるでしょう。

※参考:ダンクソフト「サテライトオフィスを活用したテレワーク」

3. 成果計測を導入してテレワークの生産性向上を目指す

ここでは、テレワークにおける成果計測指標を紹介します。

テレワークの普及により、「頑張っている感」をベースにした評価が通じなくなります。評価する側は「明確な目標設定・成果の定義と、その進捗を確認できるか?」が問われます。評価される側は「論理的に、自身が行った仕事の価値を説明できるか?」が問われます。

この問いに対して、勤務態度や時間などは評価の中心には置かず、成果物を重視するやり方が、テレワークの評価にはフィットしています。勤怠管理は労務管理上必要ですが、これでは成果を計測できません。成果を計測し、テレワークの生産性を向上させる仕組みが必要になります。

前述の株式会社ダンクソフトでは、テレワークの際には、常時Web会議システムに接続し、互いに様子が見えます。また、テレワーク実施時の成果の把握については、成果をクラウド上で共有することにより、オフィスに勤務している状態と同様に可能になっています。

4. テレワークの生産性向上に寄与するツール

最後にテレワークの生産性向上に寄与するツールを紹介します。

生産性を向上させるためには、自社にあった成果を計測するシステムの導入が必要です。主なシステムとしては、「工数管理ができるツール」と「生産性向上に寄与するツール」があります。

4-1. 工数管理ができるツール

「工数管理ツール」「進捗管理ツール」「タスク管理ツール」といったキーワードの製品群がこれに該当します。 特定の業務にどれだけ時間がかかっているのか把握できるため、成果の計測が可能になります。

4-2. 生産性向上に寄与するツール

「リモートアクセスツール」「Web会議システム」「チャットツール」「ワークフローシステム」「経費精算システム」「グループウェア」「オンライン請求書システム」「電子契約サービス」「セキュリティツール」といったキーワードの製品群がこれに該当します。 

ツール内に生産性を計測する機能はありませんが、たとえば、Web会議システムであれば、移動時間が減ることによって、営業担当者1人あたりの提案件数を増やすことで生産性向上に寄与します。

5. まとめ

この記事では、中小企業へのテレワーク導入の「現状・メリット・生産性向上への活用」などを解説しました。

テレワークにより生産性を向上させるポイントは、働く場所や時間の「柔軟性」を高めることと並行して、測定・管理・評価を「時間」から「成果」へと転換することです。その実現には、助成金を活用して費用を抑えつつ、自社に合った「成果測定のツール」と「生産性向上に寄与するツール」の導入が必要になります。

新型コロナ禍における競争力強化のために、「テレワークを活用した生産性向上」を検討してみてはいかがでしょうか。

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