
ガントチャートは見やすい状態を維持するのが難しく、運用を続けるうちにタスクが複雑に絡み合い、最新状況がわかりづらいと悩むケースも少なくありません。本記事では、見やすいガントチャートに共通する条件や、見づらくなる原因、見やすいガントチャートを作るコツや必要な機能、ガントチャート作成におすすめのツールなどを紹介します。
目次
見やすいガントチャートに共通する条件
はじめに、見やすいガントチャートに共通する条件をいくつか紹介します。
全体のスケジュールとフェーズが一目で把握できる
見やすいガントチャートの条件は、プロジェクト全体の開始から終了までの流れを俯瞰的にチェックできることです。
「要件定義」「設計」「開発」といった大きなフェーズごとに色分けされており、現在どのフェーズにいるのかがひと目で把握できる構造になっています。
細かいタスクが並んでいると全体像がぼやけてしまうため、大枠のスケジュール感からブレイクダウンする階層的な見せ方が重要です。
ガントチャートを作成する際は、詳細なタスクを折りたたんで親フェーズのみを表示することで、重要なマイルストーンの進捗をスムーズに共有することができます。
誰がどのタスクの責任者なのかが明確である
見やすいガントチャートは、タスクごとの担当者や責任の所在がわかりやすいという共通点があります。
タスク名と横棒(バー)だけでなく、担当者の名前やアイコンが同じ行に並んでいることで、「Aの作業が遅れた場合、誰に確認すればよいか」をすぐに判断できます。
また、一人の担当者に業務が集中していないかをチャート上で把握できるため、リソース配分や業務量の調整を行いやすくなります。
チームメンバーが多い場合は、部署や役割ごとに担当者の色(ラベル)を変えておくことで、どのチームの稼働率が高いのかを明確にできます。
タスク間の依存関係が視覚的に繋がっている
プロジェクトには、「Aの作業が終わらなければBの作業を開始できない」といった順序が存在します。見やすいガントチャートは、このようなタスク間の依存関係を矢印などで整理していることが特徴です。
タスクが遅延した際に、後続のどのタスクに影響するかを事前に把握できれば、問題が発生した際のリスケジュールや、関係各所への事前共有がスムーズになります。
タスクの依存関係を整理する際は、必要な順序関係のみを結ぶようにしましょう。不要な矢印が多すぎると、チャート全体がクモの巣のように複雑化してしまうためです。
最新の進捗状況と実績が正確に反映されている
見やすいガントチャートは、予定(計画)に対する現在の進捗率が、バーの色塗りやパーセンテージでリアルタイムに表現されています。
たとえば、完了した部分は濃い色で表示され、遅延している部分は赤色でアラートが出るといった工夫です。これにより、「計画通りに進んでいるか」や「テコ入れが必要なタスクはどれか」という状況判断を迷わず行うことができます。
進捗の更新ルールを決める際は、「毎日退勤前に更新する」などをチーム内で統一し、最新の進捗状況と実績を反映することが大切です。
ガントチャートにおける管理項目
ガントチャートにおける管理項目として、次のようなものが挙げられます。
1.マイルストーン
マイルストーンとは、プロジェクトの進行において重要な節目となるチェックポイントのことです。ガントチャート上ではひし形のアイコンなどを用いて表現され、特定の日付に配置されます。
マイルストーンを設定することで、長期にわたるプロジェクトでも短期的な目標が明確になり、進捗の遅れを早期に発見する基準点として機能します。
2.ベースライン
ベースラインとは、プロジェクトの開始時に合意された「初期の計画スケジュール」のことです。現在の予定バーとは分けて、ガントチャート上にベースラインのバーを残しておくことで、「当初の計画からどれくらい乖離しているか」を比較できます。
これにより、見積もりの甘かった部分を振り返り、次回以降のプロジェクト計画の精度を向上させることができます。
3.クリティカルパス
クリティカルパスとは、プロジェクトの全タスクのつながりの中で、所要時間が最長になるルートのことです。このルートの作業が1日でも遅れるとプロジェクト全体の納期に影響するため、スケジュール管理において優先的に監視されます。
クリティカルパスを赤色などの目立つ色でハイライト表示すれば、重点的に監視すべきタスクを把握しやすくなり、優先順位にあわせて適切にリソース配置を行えます。
4.ツリー構造
ツリー構造(WBS:作業分解構成図)とは、プロジェクト全体の大きな目標から、段階的に細かいタスクへと分解していく階層的な構造のことです。ガントチャート上では、親タスク(フェーズ)の下に、子タスク(具体的な作業)がぶら下がる形で表現されます。
複雑なプロジェクトでも情報の粒度が整理され、必要な時に必要な階層だけを開いて詳細を確認できるため、チャート全体の視認性が向上します。

ガントチャートが見づらくなる原因
ガントチャートが見づらくなるのは、更新ルールが曖昧なまま、メンバーが各自の判断で情報を追加・変更してしまうことが原因です。
たとえば、タスクの粒度がバラバラ(数分で終わる作業と数週間かかる作業が同列に並ぶなど)であったり、進捗の捉え方が担当者ごとに異なっていたりすると、チャート全体の統一感がなくなります。
また、プロジェクトの仕様変更による追加タスクを、本来の階層構造を考慮せずに追記してしまうことも原因のひとつです。これにより、どのフェーズに属する作業なのかが不明確になり、タスク間の依存関係を把握しづらくなります。
さらに、終わったタスクや過去のフェーズを非表示(アーカイブ)にせず、すべてを表示したままにしていると、画面をスクロールしなければ現在の作業箇所にたどり着けなくなり、ガントチャートの視認性が低下してしまいます。
ガントチャートを見やすくするためには、プロジェクトの開始前に「タスクの追加ルール」や「進捗の更新タイミング」を決めて、定期的にメンテナンスを行うことが重要です。
Excelで作成したガントチャートが見づらくなる原因
ここでは、エクセルで作成したガントチャートが見づらくなる原因について解説します。
手動更新によるセルの色分けや塗りつぶしのミス
エクセルでガントチャートを作成する場合、多くの現場ではセルを直接塗りつぶすことでスケジュールのバーを表現します。
手動による入力ミスや色の塗り間違い、進捗の更新を忘れるなどの要因によって、ガントチャートが見づらくなるケースも少なくありません。
エクセルでガントチャートを運用する際は、条件付き書式を活用し、開始日と終了日を入力すれば自動でセルが塗りつぶされる仕組みを構築しておくことが大切です。
画面に収まらないほどの列や行の膨張
プロジェクトの期間が長くなったり、タスクが細分化されたりすると、エクセルのシートは右方向(日付の列)や下方向(タスクの行)に膨張し、見づらくなります。
エクセルで大規模プロジェクトを管理すると、現在の進捗状況を確認するために延々とスクロールを繰り返すといった手間がかかります。
シートの膨張を防ぐためには、週単位や月単位で表示を切り替えられるようなグループ化機能を活用し、必要な期間だけを展開する工夫が必要です。
複数人での同時編集によるレイアウト崩れ
エクセルは、基本的には同時編集ができないため、誰かがファイルを編集中は他のメンバーが更新できない「読み取り専用」の状態になります。
また、誤って行や列を削除したり、関数の入ったセルを上書きしたりすることで、ガントチャートのレイアウトや計算式が崩れるリスクもあります。
エクセルを複数人で編集する場合は、マスターファイルのバックアップを定期的に取得し、関数が入力されているセルには「シートの保護」を適用しておきましょう。

見やすいガントチャートを維持するために必要な機能
ガントチャートを見やすい状態に保つためには、アナログの手作業で修正するのではなく、以下のようなツール自体の機能を活用することが大切です。
進捗率とスケジュールの自動連動機能
見やすいチャートを維持するためには、担当者が入力した進捗率(%)に応じて、自動でバーチャートの色が変わる機能が必要です。
また、タスク同士の依存関係が設定されている場合、先行タスクの日程をずらすだけで、連動して後続タスクのスケジュールも自動で再計算・移動する機能も求められます。
自動連動機能があると手動調整の手間が省くことができ、リアルタイムでプロジェクトの全体像を把握することが可能です。
ただし、後続タスクがズレる可能性もあるため、スケジュールを変更した後は、クリティカルパスへの影響が出ていないかを確認する必要があります。
ズームイン・ズームアウトによる表示期間の切り替え機能
見やすいチャートを保つためには、ワンクリックでチャートの表示単位を「日」「週」「月」「四半期」などへシームレスに切り替えられる機能が必要です。
直近の状況を確認したいときは「日単位」にズームインし、マイルストーンを報告する際は「月単位」にズームアウトするといった使い分けができます。
表示期間の切り替え機能があると、不要な情報が画面に溢れるのを防ぐことができ、報告相手や目的に合わせた粒度でスケジュールを可視化できます。
重要なマイルストーンが見落とされないよう、チェックポイントには目立つアイコンやピン留め機能を活用し、視認性を高めておくことが大切です。
ドラッグ&ドロップによる直感的なタスク移動機能
スケジュールの変更やタスクの順番入れ替えを、ドラッグ&ドロップだけで行える機能も必要です。
たとえば、バーを掴んで左右に動かすだけで開始日・終了日を変更できたり、バーの端を引っ張って期間を延長できたりすると、入力の手間を削減できます。
また、ツリー構造の階層をドラッグ&ドロップで整理できれば、無秩序に追加されたタスクを本来のフェーズに紐付けることも可能です。
ドラッグ&ドロップは誤操作も多いため、変更履歴が自動で保存され、いつでも直前の状態に戻せる機能(Undo機能)を搭載したツールを選びましょう。
見やすいガントチャートを作るコツ
ここでは、見やすいガントチャートを作るコツをいくつか紹介します。
タスクの粒度を揃えて適切な階層に分ける
ガントチャートを見やすくするコツは、タスクの粒度を同じ階層内で統一することです。
たとえば、親タスクのレベルでは「要件定義」「システム開発」といった数週間〜数ヶ月単位の大きなフェーズを並べます。そして、子タスクには「仕様書の作成」「単体テスト」など、数日〜1週間程度で終わる具体的な作業を並べます。
このように階層ごとに粒度を揃えることで、プロジェクトの構造が論理的になり、ひと目で理解しやすいチャートを作ることが可能です。個人的なタスクはチャートに載せず、個人のToDoリストで管理するといった切り分けも重要です。
タスクを洗い出す際はホワイトボードや付箋を使い、チーム全員で大きなフェーズからブレイクダウンしていくと、粒度のバラつきを防ぎやすくなります。
チーム全体でルールを統一し不要な情報を省く
ガントチャートに情報を詰め込みすぎないことも、視認性を高める重要なコツです。
ガントチャート上には、タスク名、担当者、期間といった必須項目のみを表示し、詳細な手順などは備考欄に格納したうえで、色の使い方で見やすく整理します。
たとえば、「完了はグレー」「進行中は青」「遅延は赤」といった共通ルールをチーム全体で定義し、意味のない装飾や個人の好みによる色付けを禁止するとよいでしょう。
運用ルールを定めてマニュアル化し、定期的な進捗会議でガントチャートの「見方」をメンバー間で共有するとルールの形骸化を防げます。
ガントチャートツールを選ぶ時のポイント
ガントチャートを作成するツールを選ぶ際は、以下のようなポイントを意識しましょう。
現場のメンバーが直感的に操作できるか
高機能なツールを導入しても、現場のメンバーが使いこなせなければ意味がありません。そのため、画面の見やすさや操作のしやすさがツールを選ぶポイントになります。
エクセルのようなソフトに慣れていてもスムーズに操作できるか、ドラッグ&ドロップで簡単にスケジュール変更ができるかといった点や実際の使用感を、無料トライアルなどで確認しましょう。
ガントチャートツールを選ぶ際は、情報システム部門やマネージャーだけで決めるのではなく、プロジェクトメンバー数名にテスト利用してもらい、フィードバックを集めることが重要です。
他システムや既存の勤怠管理との連携性があるか
プロジェクト管理は独立した業務ではなく、企業のさまざまな業務と密接に結びついているため、他システムとの連携機能の有無がポイントになります。
とくに管理部門にとって重要なのが、既存の勤怠管理システムやカレンダーツール(GoogleカレンダーやOutlookなど)との連携機能です。カレンダーの予定をそのままタスク実績として取り込める機能があれば、二重入力の手間を省けます。
また、勤怠システムと連携して、実労働時間と工数入力時間の乖離を自動でチェックできるツールであれば、ソフトウェア制作費の資産計上などにおいて、信頼性の高いエビデンスを確保できます。
API連携が可能なツールを選べば、将来的に自社の基幹システムやBIツールとデータを連携し、より高度な経営分析を行うことも可能です。
複数プロジェクトの横断管理や予実管理に対応しているか
単一のプロジェクト管理だけでなく、会社全体のリソース状況を横断的に把握できるかどうかも選定ポイントのひとつです。
複数プロジェクトを担当する人の稼働状況を可視化できるか、メンバーの単価情報をもとに労務費(工数原価)を自動計算できるか、リアルタイムで予算消化率を把握できるかなどの視点から、横断管理や予実管理に対応しているツールであるかどうかを確認しましょう。
なお、部門ごとの採算や、プロジェクトカテゴリごとの利益率を出力できる「レポート機能」が充実しているツールを選ぶと、報告資料の作成にかかる手間を削減できます。

見やすいガントチャートが作れるおすすめのツール
ここでは、見やすいガントチャートを作成できるツールをいくつか紹介します。
Asana
Asanaは、世界中で利用されているタスク・プロジェクト管理ツールです。
直感的に操作しやすいインターフェースが特徴で、リスト形式で作成したタスクを、ワンクリックでタイムライン(ガントチャート)形式に切り替えることができます。
タスクの依存関係をマウス操作で設定でき、大規模チームや複雑なワークフローにも対応しています。 (参考リンク:https://asana.com/ja)
Asanaの「ポートフォリオ機能」を活用すれば、複数プロジェクトの進捗状況を一つの画面で横断的にモニタリングすることも可能です。
Lychee Redmine
Lychee Redmineは、オープンソースのプロジェクト管理ツール「Redmine」をベースに、日本企業向けに使いやすく拡張されたツールです。
ガントチャート作成に役立つ機能が豊富にあり、クリティカルパスの表示からベースラインの比較、緻密なリソース管理まで対応しています。
システム開発や製造業など、複雑で大規模なプロジェクト管理で活用されており、高度な進捗管理・品質管理を行いたい場合に適しています。
(参考リンク:https://lychee-redmine.jp/)
Lychee Redmineの「チケット駆動開発」と連携して活用すれば、バグの修正履歴とスケジュールの遅延要因を正確に紐づけて分析することも可能です。
Backlog
Backlogは、国内で高いシェアを誇るプロジェクト管理ツールです。
親しみやすいデザインとシンプルな操作性が特徴で、課題(タスク)を登録し、開始日と期限日を設定するだけで自動的にガントチャートが生成されます。
Wiki機能やバージョン管理機能も標準搭載されているため、チーム内の情報共有とスケジュール管理を一つのプラットフォームで完結させたい場合におすすめです。
(参考リンク:https://backlog.com/ja/)
課題ごとに設定できる「スター機能」や「絵文字リアクション」を活用することで、リモートワーク環境でもチーム内の円滑なコミュニケーションを促進できます。
Jooto
Jootoは、カンバン方式をベースにしたタスク・プロジェクト管理ツールです。
ホワイトボードに付箋を貼るような感覚でタスクを管理でき、自動的にガントチャートへ反映される仕組みになっています。
ITの専門知識がなくてもすぐに使い始められるため、営業部門やマーケティング部門、バックオフィスなど、非エンジニアチームでのスケジュール管理にも適しています。
(参考リンク:https://www.jooto.com/)
カンバンボードを活用すれば、タスクのステータス(未着手・進行中・完了など)を移動させるだけでガントチャートにも進捗を反映させることが可能です。
Wrike
Wrikeは、柔軟なカスタマイズ性と高度な管理機能を備えたワークマネジメントプラットフォームです。
ガントチャート上でのタスクの依存関係の設定や、ベースラインとの比較、メンバーの稼働状況を視覚化するワークロード管理機能などを搭載しているため、部門を横断した大規模なプロジェクト管理に適しています。
(参考リンク:https://www.wrike.com/ja/)
Wrikeの「リクエストフォーム機能」を活用し、他部署からのタスク依頼を自動的にフォーマット化する仕組みを作れば、タスク管理の手間を削減することが可能です。
クラウドログならさらに効率化可能!
見やすいガントチャートを作りたい、原価や勤怠データも一元管理したい場合は、工数管理・プロジェクト管理ツール「クラウドログ」の導入がおすすめです。
入力したデータはガントチャートにリアルタイムに反映され、チーム全体の稼働状況やプロジェクトの進捗を正確に把握することが可能です。
また、メンバーごとの単価をもとに、労務費(工数原価)を自動計算し、プロジェクトごとの予算消化率を可視化することもできます。
主要な勤怠管理ツールと連携することで、実労働時間と工数入力時間の乖離をチェックできるため、ソフトウェア制作費の資産計上に必要なエビデンスとしても活用できます。
クラウドログでは、基本機能に関する資料や無料トライアルを用意しているため、まずは使用感や搭載機能をチェックしてみてはいかがでしょうか。
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まとめ
本記事では、見やすいガントチャートに共通する条件や、見づらくなる原因、見やすいガントチャートを作るコツ、おすすめのガントチャートツールなどを紹介しました。
ガントチャートの入力負荷を減らしつつ、予実管理や原価計算まで一元管理するためには、自動連動機能や直感的な操作性を備えた専用ツールの導入が必要です。
見やすいガントチャートを作成・運用しつつ、効果的なプロジェクト管理体制を構築したい場合は、「クラウドログ」のような工数管理ツールを活用しましょう。
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- 監修:クラウドログ編集部
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クラウドログ編集部です。工数管理・プロジェクト管理を軸に、企業の生産性向上を支援する最新情報をお届けします。属人化の解消やコスト可視化など、働き方改革に不可欠なテーマを、専門的な視点から分かりやすく解説します。
