
プロジェクト管理を行う際は、ガントチャートで全体のスケジュールを共有しつつ、専用ツールで細かいタスクを管理するケースが一般的です。近年では、Googleスプレッドシートを用いてガントチャートを作ることで、専用ツールの導入コストや学習時間を削減する企業も増えています。
本記事では、Googleスプレッドシートをプロジェクト管理に利用するメリット・デメリットや、Googleスプレッドシートの標準テンプレートや拡張アドオンを使ってガントチャートを作成する手順などを画像付きでわかりやすく解説します。
目次
Googleスプレッドシートをプロジェクト管理に利用するメリット
はじめに、Googleスプレッドシートをプロジェクト管理ツールとして利用することで、どのようなメリットがあるかを紹介します。
1. 導入コストがかからず、無料で手軽に利用開始できる
Googleスプレッドシートをプロジェクト管理に利用するメリットとしてまず挙げられるのが、社内に導入する際のハードルの低さです。
プロジェクト管理ツールやライセンス型の表計算ソフトをチーム全員分揃えようとすると、初期費用や月額のランニングコストがかかりますが、スプレッドシートはGoogleアカウントがあれば誰でも無料で利用することができます。
また、ツール導入時にありがちな「新しいツールの使い方を覚える」という学習コストも抑えられるため、工数管理やタスク入力の形骸化を防ぐことが可能です。
2. クラウド型のため、複数人での同時編集やリアルタイム共有が可能
Googleスプレッドシートはクラウドベースで運用するため、インターネット環境さえあれば、場所やデバイスを問わずアクセスできることがメリットです。
プロジェクトメンバーが同時に1つのシートを開いて編集でき、タスクの進捗状況や仕様変更などがリアルタイムで反映されるため、会議中やリモートワーク環境下でもプロジェクトの最新状況をチーム全員で共有することが可能です。
情報のタイムラグがなくなることで、プロジェクトの管理者は各メンバーの稼働状況を迅速に把握し、特定個人への負荷集中を防ぐための適切な人員配置を行えるようになります。
3. 関数やアドオンを活用した高いカスタマイズ性を備えている
Googleスプレッドシートは、自社の業務フローに合わせた独自の管理ツールへと柔軟にカスタマイズできることがメリットです。
関数や条件付き書式などを組み合わせることで、タスクのステータスが「完了」になったら行全体をグレーアウトさせたり、期日が近づいたタスクのセルを赤くハイライトにしたりといった視覚的な工夫を簡単に行えます。
また、Google Workspaceの他アプリとの連携機能や、拡張機能(アドオン)が豊富に用意されており、単純作業を自動化することで現場の生産性を向上させることができます。
Googleスプレッドシートのテンプレートを使用する手順
Googleスプレッドシートに標準搭載されている「テンプレートギャラリー」を活用すれば、短時間で管理シートを作成できます。ここでは、標準テンプレートを利用してプロジェクト管理を開始するまでの具体的な手順を解説します。
1. テンプレートギャラリーから「プロジェクト管理」を選択する
まずは、Googleスプレッドシートのホーム画面にアクセスします。
画面上部にある「新しいスプレッドシートを作成」のエリアに、いくつかテンプレートが表示され、右側にある「テンプレートギャラリー」をクリックすると、利用可能なすべてのテンプレート一覧が展開されます。
続いて、一覧の中から「プロジェクト管理」というカテゴリーを探してください。
その中にある「ガントチャート」を選択してクリックすると、自動的にガントチャートのレイアウトや基本的な関数が組み込まれた新しいスプレッドシートが生成されます。
スプレッドシートのテンプレートは、タスク名、担当者、開始日、終了日といった必須項目があらかじめ設定されているため、枠組みを作成する作業を省略することが可能です。
なお、企業でGoogle Workspaceを契約している場合、自社用のテンプレートギャラリーを作成できます。標準テンプレートを一度自社向けにカスタマイズし、それを組織内に共有しておけば、全社的な管理フォーマットの統一が図れます。
2. テンプレートの各項目を自社のプロジェクトに合わせて編集する
新しいテンプレートを生成したら、プロジェクトの要件に合わせて内容を書き換えます。
スプレッドシート上部にある「プロジェクトのタイトル」や「プロジェクトマネージャー」などの基本情報を自社のものに変更してから、実際のタスクを入力してください。
具体的には、サンプルとして入力されているダミータスクを削除し、WBS(作業分解構成図)に基づいてタスク名、担当者名、開始予定日、終了予定日を埋めていきます。
テンプレートに開始日と終了日を入力すると、右側のガントチャート部分(バーチャート)が自動的に色付けされて表示される仕組みになっています。
必要に応じて、タスクの階層(親タスク・子タスク)をインデントで表現したり、「ステータス」や「優先度」といった独自の列を追加したりして、使い勝手を向上させましょう。
3. プロジェクトメンバーに共有権限を付与し、運用を開始する
スプレッドシートの初期設定が完了したら、プロジェクトに参加するメンバーへアクセス権限を付与します。
画面右上の「共有」ボタンをクリックし、メンバーのGoogleアカウントのメールアドレスを入力します。このとき、各自の役割に応じて「閲覧者」「閲覧者(コメント可)」「編集者」のいずれかの権限を正しく設定することが重要です。
たとえば、タスクの実務担当者には「編集者」権限を付与して自身の進捗を更新させ、経営層やクライアントには「閲覧者」権限を付与し、リアルタイムな状況確認のみを許可するといった運用が一般的です。
招待メールを送信し、各担当者がスプレッドシートにアクセスできることを確認できたら、本格的に運用を始めることができます。
Googleスプレッドシートの機能を拡張できるアドオン「Projectsheet Planning」
Googleスプレッドシートの標準機能だけでも簡易的なガントチャートを作成できますが、より本格的なプロジェクト管理を行う場合は、専用の拡張機能(アドオン)を導入するケースが一般的です。
ここでは、スプレッドシート上で高度なガントチャートを生成・管理できる代表的なアドオン「Projectsheet Planning」の機能概要やインストール手順などを紹介します。
Projectsheet Planningをインストールする方法
Projectsheet Planningは、スプレッドシートにWBS機能やガントチャートの自動描画機能を追加できる便利なアドオンです。インストールは、スプレッドシートの画面上から数クリックで完了します。
まず、任意のスプレッドシートを開き、上部のメニューバーから「拡張機能」>「アドオン」>「アドオンを取得」の順にクリックします。
Google Workspace Marketplaceのウィンドウが開くので、検索窓に「Projectsheet Planning」と入力して検索してください。
該当のアプリが表示されたらクリックし、「インストール」ボタンを押します。Googleアカウントのアクセス権限を求められるので、内容を確認して「許可」を選択すればインストールは完了です。
企業でGoogle Workspaceを利用している場合、システム管理者のセキュリティ設定によっては、個別のアドオン追加が制限されていることがあります。その際は、情報システム部門へ利用申請を行ってください。
Projectsheet Planningでガントチャートを作る方法
続いて、インストールしたProjectsheet Planningを利用し、実際にガントチャートを作成する手順を解説します。アドオンを活用することで、エクセル等で複雑な関数を組むより簡単にスケジュール表を構築できます。
まず、新しい空白のスプレッドシートを開き、上部メニューの「拡張機能」から「ProjectSheet planning」を選択し、「Add ProjectSheet」をクリックします。
数秒待つと、アドオンが自動的に処理を行い、シート上にタスク名(Task description)、開始日(Start)、終了日(Finish)、進捗率(Progress)などの専用カラムと、右側に日付のタイムライン(ガントチャート領域)が自動生成されます。
基本設定が完了したら、左側のカラムに具体的なタスクを入力してください。「Task description」の列にタスク名を書き込み、「Start」と「Finish」に日付を入力するだけで、右側のタイムライン上に自動的にバー(横棒)が描画されます。
Projectsheet Planningの優れた点は、WBSの階層構造を表現できることです。行を選択してアドオンのサイドバーからインデント操作を行うと、親タスクとサブタスクの関係性が構築され、サブタスクの期間に応じて親タスクの期間が自動で計算・調整されます。
さらに、タスクの進捗率(%)を入力すると、タイムライン上のバーの色が変わり、遅延の有無を確認できるようになります。
無料版でも基本的なガントチャートの作成とWBS機能は利用できますが、有料のPro版にアップグレードすると、タスク間の依存関係(先行・後続)の設定や、リソースの割り当て機能など、より高度なプロジェクト管理機能を利用することが可能です。
アドオンによって自動生成されたカラムや行を誤って手動で削除すると、システムの動作が不安定になるため、レイアウトを変更したい場合は、必ずアドオンの正規のメニューから設定を変更するように注意してください。

Googleスプレッドシートをプロジェクト管理に利用するデメリット
Googleスプレッドシートはカスタマイズ性に優れていますが、専用のプロジェクト管理ツールではないため、運用上の限界やリスクも存在します。ここでは、プロジェクトの規模拡大や、複雑化に伴って直面しやすいデメリットについて解説します。
1. 大規模プロジェクトではデータ量が増え、動作が重くなる傾向がある
スプレッドシートはWebブラウザ上で動作するアプリケーションであるため、シート内に大量のデータや複雑な関数が含まれると、処理速度が低下することがデメリットです。
とくにプロジェクトが大規模になり、数百から数千行に及ぶタスクリストや、複数年をまたぐ長期間のガントチャートを作成した場合、ファイルを開くだけで時間がかかったり、入力時にフリーズが発生したりするリスクが高まります。
また、リアルタイムで複数人が同時編集を行っている際に、データ量が多いと同期にタイムラグが生じ、意図しないデータの競合や上書きが発生するケースも少なくありません。
動作を重くしないためには、終わったフェーズの行を別シートにアーカイブして非表示にする、不要な空白の行や列を削除する、計算負荷の高い「IMPORTRANGE」などの関数を多用しないといった工夫が必要です。
2. タスク間の複雑な依存関係や進捗の自動更新を設定するのが難しい
プロジェクト管理において、「Aのタスクが完了しなければ、Bのタスクを開始できない」といったタスク間の依存関係を整理することが重要です。
専用ツールであれば、タスク同士を矢印で結ぶだけで済みますが、スプレッドシートは複雑な関数(VLOOKUPやIF関数など)をセルに自力で組み込む必要があります。
仕様変更などにより途中のタスクの納期が延びた場合、手動で後続タスクすべての日付を修正しなければならず、管理工数に手間がかかることがデメリットです。
また、ファイルの作成者が異動や退職で不在になると、残されたメンバーでは関数の仕組みが理解できず、「ブラックボックス化」してしまう属人化のリスクもあります。
3. 誰でも編集できるため、意図しないデータの削除や改ざんのリスクがある
スプレッドシートの同時編集が可能というメリットは、裏を返せば「誰もが簡単にデータを上書きできてしまう」というデメリットにもなります。
Googleスプレッドシートの変更履歴をもとにデータを復元することは可能ですが、「誰が・いつ・どこを変更したのか」を特定して修正する作業には時間と労力がかかります。
意図しないデータの削除や改ざんのリスクを防ぐために、プロジェクトマネージャーだけが編集できる列と、メンバーが編集できる列を明確に分けて、特定の範囲に対して「シートの保護」や「セル範囲の保護」を設定しましょう。
4. モバイル端末からの操作性が低く、外出先での更新に手間がかかる
スプレッドシートは、基本的にPCの広い画面での操作を前提として設計されています。スマホ用のアプリもありますが、詳細なタスクを小さな画面では閲覧・編集しづらいことがデメリットです。
たとえば、営業担当者が外出先で進捗を入力する際に、横スクロールを何度も繰り返して目的のセルを探さなければならず、入力ミスが発生しやすくなります。
結果として「帰社してからPCでまとめて入力しよう」という心理が働き、リアルタイムな進捗共有が滞る原因となります。
モバイル環境で入力するメンバーが多い場合は、「Googleフォームを使ってタスクの完了報告を送信することで、スプレッドシートに自動反映される仕組みを作る」といった代替案を検討してください。
5. 複数プロジェクトを横断したリソース状況や予実管理の把握が困難
スプレッドシートだけでプロジェクト管理を行う場合、リアルタイムの原価管理や、収支の可視化という高度な要求には対応できないことがデメリットです。
複数のプロジェクトを担当しているメンバーに対して、別々のスプレッドシートで管理している場合、「Aさんは全体でどれくらいタスクを抱えているか」という横断的なリソースを把握しづらいためです。
会社全体のプロジェクトごとの損益状況や、各担当者の労務費(工数原価)を把握するためには、各シートからデータを再集計する必要があるため、スプレッドシートだけで管理すると時間や手間がかかります。
プロジェクトメンバー全員の工数を集計する「マスタシート」を作成し、関数を用いて各シートのデータを同期させることで簡易的な横断管理は可能ですが、メンテナンスの手間を考慮すると専用ツールを導入したほうがよいでしょう。
Googleスプレッドシートをプロジェクト管理に利用する際に決めておくと良いルール
ここでは、Googleスプレッドシートの導入時に決めておくべき運用ルールについて解説します。
1. 編集権限の付与範囲と、セルごとの保護設定を明確にする
データの破損・改ざんを防ぐためには、メンバーの役割に基づいた権限設定が必要です。
プロジェクトメンバー全員にフルアクセスの「編集者」権限を付与するのではなく、「プロジェクトマネージャーは全範囲編集可能」や「担当者は自分のタスク行の進捗率・備考欄のみ編集可能」といったルールを共有しましょう。
スプレッドシートの機能である「範囲の保護」を設定し、ガントチャートを描画するための関数が入力されているセルなどにはロックをかけ、特定の管理権限を持つユーザー以外が変更できないように保護することが重要です。
スプレッドシートに「使い方・ルール」という別タブを作成し、どこが編集可能でどこが編集禁止なのかを図解入りで記載しておくと、新しくプロジェクトに参画したメンバーへの引き継ぎがスムーズになります。
2. 更新のタイミングやステータス変更の定義を統一する
リアルタイムな情報共有を実現するためには、「いつ、どのような状態になったら数値を更新するのか」という基準をチーム内で統一しておく必要があります。
たとえば、タスクが完了したらその日のうちに100%にする、毎日夕方の退勤前に進捗率を更新するといった、更新のタイミングをルール化してください。
また、ステータス(未着手・進行中・レビュー待ち・完了など)の定義も重要です。
担当者は「作業が終わった」と思って完了にしても、上長の承認が下りていなければプロジェクト全体としては完了していません。「レビューまで進んだらステータスを完了に変更する」といった定義があれば、認識のズレを防ぐことができます。
ステータスを入力する際は、「データの入力規則」を用いてプルダウンリストを設定することで表記揺れを防ぎ、後からの集計やフィルタリングが正確に行えるようにしましょう。
3. 過去データのバックアップ頻度やバージョン管理のルールを定める
スプレッドシートに入力したデータは自動保存され、「変更履歴」で過去データを確認できますが、長期間経過すると細かな履歴までは追えなくなることがあります。
そのため、重大な操作ミスや構成の大幅な変更が行われた際に、元の状態に戻せるような運用ルールを用意しておく必要があります。
たとえば、「週に1回、毎週金曜日の夕方にコピーを作成し、バックアップフォルダに保存する」といった定期的なスナップショットの取得ルールを設けるとよいでしょう。
また、仕様変更によってWBS全体を作り直すような場合は、ファイル名に「v1.0」「v2.0」といったバージョン番号を付与して別ファイルとして保存し、過去の計画と現在の計画の差分を後から振り返ることができる体制を整えることが大切です。

クラウドログなら簡単にプロジェクト管理が可能(無料トライアルあり)
Googleスプレッドシートを用いてガントチャートを作成すれば、コストを抑えてプロジェクト管理を行えます。ただし、プロジェクトが複雑化すると、「タスクの依存関係がわかりづらい」や「複数プロジェクトを横断したリソース管理ができない」といった課題に直面するケースも少なくありません。
そこでおすすめなのが、プロジェクト管理や工数管理に特化した専用ツール「クラウドログ」の導入です。
クラウドログを利用すれば、スプレッドシートのように関数を組む手間なく、直感的な操作で本格的なガントチャートやWBSを簡単に構築できます。GoogleカレンダーやOutlookカレンダーと連携でき、予定をドラッグ&ドロップするだけで工数入力が完了します。
また、メンバーごとの単価設定から労務費(工数原価)を自動計算し、プロジェクトごとの予算消化率をリアルタイムで可視化することも可能です。これにより、赤字案件の兆候を早期に発見し、データに基づいた経営判断や、特定個人への負荷集中を防ぐことができます。
ソフトウェア制作費の資産計上に必要なエビデンス抽出や、主要な勤怠管理ツールとの連携による労働時間との整合性チェックなど、管理部門が求める高度な内部統制機能も備えています。
クラウドログでは、搭載機能に関する資料や無料トライアルを用意しているため、まずは使用感をチェックしてみてはいかがでしょうか。
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まとめ
本記事では、Googleスプレッドシートを活用してガントチャートを作成する手順や、導入のメリット・デメリットなどを解説しました。
スプレッドシートは無料で手軽に始められるため、小規模なプロジェクトや管理体制のテスト導入に適しています。しかし、同時編集によるデータ破損のリスクや、プロジェクト横断的なリソース・原価の可視化には限界があるのも事実です。
データに基づいた売上向上や、正確な予実管理・内部統制を推進していくフェーズにおいては、クラウドログのような高度な管理ツールへの移行を検討しましょう。
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- 監修:クラウドログ編集部
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クラウドログ編集部です。工数管理・プロジェクト管理を軸に、企業の生産性向上を支援する最新情報をお届けします。属人化の解消やコスト可視化など、働き方改革に不可欠なテーマを、専門的な視点から分かりやすく解説します。
