愛知海運株式会社
:プロジェクト・工数管理ツール導入事例

港湾事業の実態を可視化しDX改善を加速!クラウドログで築いた“データ起点の改善サイクル”

業種
その他
企業規模
101-500名
課題
生産性改善・働き方改革

愛知海運株式会社は、創業83年の港湾運送事業者として、愛知県内の全物流港湾に拠点を構え、バルク貨物の荷役から重量物輸送、バイオマス燃料の一貫輸送まで幅広い物流サービスを提供しています。

同社では、3カ年の中期経営計画において生産性向上をDXで推進する方針を掲げ、その第一歩として業務実態の可視化に向けてクラウドログを導入しました。これまで把握できていなかった現場負荷や業務時間の内訳をデータ化し、改善効果を検証できる体制づくりを進めています。導入の背景と実際の活用状況について、DX推進を担う経営管理部の方々にお話しをお伺いしました。

経営管理部 部長 三室 雅彦 様
経営管理部 情報システム課 課長 福岡 健治 様

背景

  • DX推進によって生産性向上を図るために、業務の可視化と効果測定の仕組みが必要だった
  • 業務時間が長くなりがちな一部の部署について、原因となっている業務を特定できていなかった
  • 現場作業が多い部署では、PCの操作ログを取るだけでなく作業実態を捉えられる工数管理が求められた

決め手

  • 現場に入力負荷をかけないシンプルで直感的な画面構成と操作性
  • PC作業以外も含め、幅広い業務の工数を記録できる柔軟性
  • 多様な切り口で分析でき、改善施策の検討につながるレポート機能
  • 業務負荷の高い部署でも、現実的に運用可能と判断できた

効果

  • 個別の業務単位での負荷状況が可視化でき、自動化すべき工程が明確化
  • 工数入力の習慣が定着し、業務実態をマクロな視点で把握できる基盤が整備された
  • 業務改善の余地や効果を数値化できるようになり、DX施策の検証が迅速化

港湾での荷役を中心に物流を支えてきた

貴社の事業概要を教えてください。

三室 雅彦様(以下、敬称略):

当社は愛知県に根差した港湾運送事業者として、東海エリアと世界を結ぶ総合物流サービスを展開しています。愛知県内のすべての物流港湾に事業拠点を保有し、県内全港で事業免許を持つ全国でも2社しかない企業の1つです。

1日に数千トンの原材料を扱う大型バルク船の荷役作業や、橋梁・航空機部品といった重量物の取り扱いなど、製造業が盛んな愛知県の産業に欠かせない物流を担っています。

特に近年、再生可能エネルギーであるバイオマス燃料の輸送に注力してきました。生物由来で環境負荷の低いバイオマス燃料を、海外現地から日本まで一貫輸送する独自サービスを展開しています。こうしたカーボンニュートラル社会に向けた対応も当社の強みの一つです。

DXの打ち手を見出すため、まず現場の実態把握が急務だった

工数管理に取り組まれた背景を教えてください。

三室:当社では、2025年度からの3カ年中期経営計画に向けた取り組みの1つとして、生産性向上をDXで推進する方針を掲げました。しかし、「現場が忙しい」というのは総労働時間を見れば感覚的には分かるものの、業務負荷の要因までは把握しきれていませんでした。

その状態でDX推進を掲げても、マネジメント層と現場には温度差が生じてしまいます。このギャップを埋めるために、まず現場の実態を正確に把握する必要があると考え、情報システム課が中心となり、工数管理による業務の可視化に取り組むことを決めました。

福岡 健治様(以下、敬称略):これまで工数管理を行ってこなかったため、各部署における業務時間の配分や作業内容の詳細データが存在していませんでした。現状の課題を洗い出し、改善策を講じる点においても、工数データの取得は必須でした。

全社一斉ではなく、特定の部署に絞って導入されたそうですね。

三室:工数管理そのものが初めてだったこともあり、いきなり全社へ展開するより重点部署に限定したほうがよいと判断しました。導入部署で成果を出し、その成功事例をもとに他部署へ展開していく段階的なアプローチが、組織全体の理解と協力を得る上で有効だと考えたためです。

福岡:今回5つの部署にクラウドログを導入しました。具体的には、船舶代理店課、通関課、オペレーション課、そして倉庫部門の2拠点で、対象となる人数はおよそ50名です。

対象部署は、DXによる業務効率化の効果が期待できるか、業務時間が長くなる傾向があるかという2つの観点から選定しました。特に倉庫部門は、毎月一定以上の残業が発生するほど業務負荷が高まりやすい状況が見られたため、働き方改革および改善の観点からも、対策が急務でした。

工数管理ツールの選定プロセスをお聞かせください。

福岡:まず、以前からお世話になっているシステム関連の協力会社に相談しました。その際、現場の実態把握にはパソコンの操作ログだけでは不十分という助言をもらいました。というのも、当社の業務は、船舶への貨物の積み下ろしなど、PCには触れない現場作業が相当な割合を占めています。そのため操作ログだけでは業務の一部しか見えず、本質的な課題を見落とす恐れがありました。

そこで稼働時間と作業内容を記録できる工数管理ツールをいくつかご紹介いただき、クラウドログをはじめ3社ほどのサービスを比較検討し始めました。

多様な分析機能をもちながら、多忙な現場でも運用しやすいシンプルさが決め手に

選定にあたり重視したポイントと、クラウドログを選んだ決め手を教えてください。

福岡:最も重視したのは、入力負荷を最小限に抑えられるかどうかです。現場メンバーが日常的に使うツールである以上、使いやすいことは必須でした。クラウドログは画面構成がシンプルで、直感的に入力できる操作性を高く評価しました。

さらに、入力データを多様な切り口で分析できるレポート機能が備わっていた点も大きな決め手となりました。工数の可視化だけでなく、改善策の検討まで一連の流れで行えるため、DX推進における基盤として活用できると判断しました。

三室:今回は繁忙度の高い部署も対象としていたため、業務が立て込んでいる現場でも無理なく使い続けられるかは慎重に見極めました。実際にシステム部門のスタッフが試したうえで、クラウドログであれば現場にも定着すると判断し、導入を決定しました。

導入部署へのレクチャーや、入力定着に向けて行った取り組みを教えてください。

福岡:まず各部署にリーダーを決め、業務タスクの洗い出しと、クラウドログへの登録を依頼しました。タスクの粒度は、部署ごとに特性や業務内容が大きく異なるため、あえて画一的なルールは設けず現場に任せることとしました。現場の実態に即したタスク項目にした方が、運用しやすいだろうと考えたのです。

そして2週間ほど、対象部署全員にツール操作の練習期間を設け、その後は本番運用に切り替えました。操作方法については、まずリーダーに習得してもらい、リーダーから部署内メンバーへレクチャーしてもらう形を取りました。

三室:最初の1〜2か月は、入力が期待ほど進まない部署もありました。忙しい部署では、入力が滞るメンバーも見られたため、随時こちらから声掛けを行いました。加えて、各部署の入力状況をリーダーに共有しメンバーに展開してもらうなど、現場全体の入力促進につながる取り組みは継続して行っています。単なる入力作業ではなく、中期経営計画にも関わる重要なプロジェクトであることを繰り返し伝え、意義を理解してもらうよう心がけました。

その結果、2か月後には全体的に定着し、ほぼ全員が継続的に入力してくれています。ただ、繁忙期には入力漏れが起こるケースもまだ散見されるため、正確なデータが生産性の検証・改善に直結することを、今後も粘り強く伝えていく必要があると考えています。

見える化により想定外の業務負荷が判明。改善施策の実行へつながった

導入後、どのような場面で工数管理の効果を実感されましたか。

福岡:工数を集計した結果、予想以上に負荷が高いと分かったのは、オペレーション課における「ディスパッチ発行業務」です。ディスパッチとは、輸入コンテナをヤードから引き取る際に必要となる書類発行のことで、手間がかかる業務だとわかってはいましたが、予想を大きく上回る時間を要していることが判明したのです。現場にヒアリングすると、コンテナ到着確認や引き取り準備状況のチェック、各種申請や照合作業など、多数の確認・入力プロセスが業務負荷の要因となっていることが分かりました。

そこで、以前から別業務で活用していたRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を応用して、一部工程の自動化を実施しました。早くも改善効果が出始めているとのことです。クラウドログによる可視化がなければ、負荷の実態や自動化すべき工程を特定できなかったはずで、まさに可視化が改善を生んだ象徴的な事例だと考えています。

三室:通関課においても、手作業が多かった業務を対象にAI-OCR機能を備えた自動計算システムの導入を決定し、来月より稼働予定です。こちらも試験段階で確実な効率化効果が確認できています。

導入からまだ半年ですが、各業務における工数の実態や具体的な改善効果を、データに基づいて具体的に示せるようになったことは、組織にとって大きな成果だと感じています。

蓄積したデータを起点に、継続的な改善サイクルを全社へ展開したい

今後のクラウドログ活用に向けて、目標や目指す姿はありますか?

三室:まずは、現場のメンバー自身が効果を実感できる状態をつくることが最も重要だと考えています。そのためには、収集したデータから施策を確実に打ち出し、結果を継続的にモニタリングしていく必要があります。これだけ負荷が減ったという実感が、現場のモチベーション維持にもつながると見込んでいます。

福岡:対象部署のうち効率化の余地が小さい部署については、新たに工数管理を行うチームとの入れ替えも検討します。中期経営計画の3年間はDX推進を継続するので、効果が見込める部署を柔軟に追加しながら、会社全体の生産性向上を図っていきたいと思います。

現状では、毎月の集計・分析を情報システム課が担い、各部署へフィードバックを行っていますが、将来的には各部署が自らレポートを見て、自発的に改善に動いてくれる状態を目指したいですね。

クラウドログをご検討中の会社様へ、メッセージをお願いします。

三室:DXや生産性向上に取り組むうえで、まず重要なのは現状をデータで把握することだと実感しています。忙しいという感覚だけで、どの業務にどれだけ負荷がかかっているか見えない状態は健全とは言えません。

今は、誰が・どの業務に・何時間使っているか定量的に把握できるようになり、改善余地の大きい領域を客観的データに基づき特定できました。そのおかげで、RPAやAI-OCRといったDX施策の効果も、感覚ではなく数字で説明できます。クラウドログは、その可視化の起点となるツールとして非常に有用だと感じています。

福岡:導入において重要なのは、最初から完璧を目指さないことだと思います。タスク定義やルールを細かく決めすぎるより、まずは各部署が運用しやすい粒度で始めてみることが重要だと感じました。

クラウドログは画面もシンプルで、忙しい現場でも受け入れられやすいツールです。まずは一部部署で試し、自分たちの業務を自分たちで良くしていくための土台として活用していくのがよいのではないかと思います。

愛知海運株式会社

https://www.aikai.co.jp/

1943年3月
事業内容:創業83年の港湾運送事業者として、愛知県内の全物流港湾に拠点を構え、バルク貨物の荷役から重量物輸送、バイオマス燃料の一貫輸送まで幅広い物流サービスを提供
社員数:441名
資本金:2億5,000万円

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