株式会社マネーフォワード プロジェクト単位の予実管理を実現!マネーフォワード社が目指した管理会計の理想像とは

業種
IT・通信
企業規模
501-1000名
課題
脱表計算・脱自社システム

「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに掲げ、SaaS ×Fintech領域でサービスを展開している株式会社マネーフォワード。同社の事業部の1つであるマネーフォワードエックスカンパニー(以下、Money Forward X)では、金融機関等のクライアントが抱える課題と向き合い、個人・法人向けSaaSの提供やプロダクトの拡充、独自サービスの開発導入を推進しています。

同事業部では、プロジェクト単位の予実管理が実現できていなかったことに課題を感じていらっしゃいました。クラウドログを選定した背景や社内への浸透施策、導入による成果といったお話を伺いました。

経営企画部 部長 大矢 美奈 様
経営企画部 アシスタント 前田 憂 様

背景

  • 財務会計において、新しい収益認識基準に対応しなければならなかった
  • 管理会計並びにプロジェクト単位の予実管理が適時適切に実現できていなかった
  • 工数管理が煩雑であり、管理部門である経営企画部の負担が大きかった

決め手

  • トライアル利用にて、操作が視覚的に分かりやすく、シンプルだった点を評価
  • 一般メンバー・管理者・経営企画部の3ロールすべての視点で、必要な機能が備わっていたこと

効果

  • 新収益基準に適合したプロジェクト管理を実現
  • プロジェクト単位で予実管理を実現し、進行途中で軌道修正が可能に
  • 工数管理がより精緻かつシンプルにできるようになった

SaaS系とSI系、それぞれのプロジェクトが進行するMoney Forward X

貴社の事業内容をお聞かせください。

大矢 美奈 様(以下、敬称略):弊社では「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションを掲げ、オープンかつ公正な「お金のプラットフォーム」を構築すること、本質的なサービスを提供することにより、個人や法人すべての人のお金の課題を解決することに取り組んでいます。

弊社事業部のひとつであるMoney Forward Xでは、主に金融機関等のパートナー企業様と新たな金融サービスを創出することがミッションです。

Money Forward X では、どのようなプロジェクトが走っているのでしょうか。

大矢:大きく2つの事業形態があります。1つはSIビジネスとして、パートナー企業様と共創しながらソフトウェアの受託開発をしています。もう1つが、自社プロダクトを地域の金融機関様を中心としたパートナー企業様ブランドで展開していくSaaSビジネスです。時期にもよりますが、常に2つの事業形態の複数の開発及び保守プロジェクトが走っています。

会計基準が「新収益基準」へ。経営企画に迫られた対応とは

クラウドログ導入以前は、工数管理をどのように行われていたのでしょうか。

大矢:以前はツールを使っておらず、案件の状況を把握しているメンバーに経営企画部がヒアリングし、その実績内容や現在消化した案件別の工数をスプレッドシートに入力するという方法でした。なお、工数管理の目的は、経理に提出する原価計算のソースとして使用するためです。そのシートを経理に渡し、確認後は原価計算等の経理処理に活用していました。

工数管理ツールの導入背景をお聞かせください。

大矢:2022年11月期より「収益認識に関する会計基準」が適用されたことで、弊社においても財務会計の収益認識基準が変更となったことが背景にあります。

クラウドログ導入以前の旧基準では、プロジェクトにおける検収終了時に売上と原価を計上する方法で会計処理をしていました。弊社は11月決算のため、昨年の冬から新収益基準での会計処理と収益認識に変更しなければならなかったのです。

新収益基準では、プロジェクトの進捗具合(プロジェクトあたりの開発コスト消化率)に応じて収益を計上する会計処理になります。

プロジェクト単位で月ごとの開発コストの見積もりと実績情報が必要になるため、厳格なプロジェクトのコスト管理が求められ、リアルタイムで確認できる体制を整備する必要が出てきたのです。

会計基準、会計方法以外には、どのような課題があったのでしょうか。

大矢:プロジェクトごとの収支を、リアルタイムで把握できていない状態を、以前から課題だと認識していました。つまり、それぞれのプロジェクトが黒字なのか、予定通りの収益率なのか、赤字なのかが適時適切に分からなかったのです。

Money Forward Xの経営メンバーも売上や人員などの規模が増えている中で、さらに事業を成長させるためには適切な収支管理が必要であると考えていました。プロジェクトが赤字にもかかわらず適切な打ち手を打てなかったり、反対にグロースのチャンスがあるプロジェクトへどの程度投資をすべきかの判断等、これまでの規模だとなんとかなっていたことも、規模が大きくなると経営メンバー側でも正しい意思決定を下すことができなくなる懸念がありました。

スプレッドシートでの管理から工数管理ツール導入へ。プロジェクト単位の予実管理を目指して

スプレッドシートで工数やプロジェクトを管理する方法は検討しましたか。

大矢:当初はスプレッドシート案もありましたが、最終的に管理システムの導入を決めたのは、「意味のある管理」をしたかったからです。メンバー全員にしっかり工数実績を入力してもらい、プロジェクトごとの収支を常に把握できる状態を目指すのであれば、スプレッドシートでは管理が複雑だと思います。

工数やプロジェクトを管理するツールはどのように比較検討しましたか。

大矢:複数のツールで比較検討を行いました。当初は他社製品が有力候補ではあったのですが、トライアル利用を実施したところ、操作が視覚的に分かりやすく、シンプルであったクラウドログへの評価が高まりました。

工数やプロジェクトの管理は、長期間に渡って運用し続けていくことが最も高いハードルですので、ツールの使い勝手を重視していました。

比較検討において、どのような機能を求めていましたか。

大矢:一般メンバー、管理者(部長、PM)、経営企画部の、大きく3つのロールから考えています。一般メンバーにとっては、日次で入力できるフォームや未入力アラートの機能が必要です。管理者にとっては、プロジェクトごとに管理できる機能、そして経理企画部では、各社員の所属管理やプロジェクトコードの管理機能が必要であると判断しました。

スプレッドシートか、他社の管理ツールか、クラウドログかで比較検討し、最終的にはクラウドログの導入を決定しています。

社内浸透施策やSFAとの連携。マネーフォワード社が実践するクラウドログ活用術

クラウドログの導入を決定してから、社内へのリリースまでのスケジュールを教えて下さい。

大矢:事業年度が替わる12月から運用しなければならなかったため、8月の導入決定から4ヶ月以内で社内にクラウドログを浸透させる必要がありました。そのため、まずは管理者にクラウドログを先行導入してもらい、現場目線でフィードバックをもらったあとに運用内容をブラッシュアップして、各所属部門メンバーに展開という流れで導入を進めました。

社内にクラウドログを浸透させるための工夫をお聞かせください。

大矢:まず部署によって、アサインされるプロジェクトに違いや特徴があるため、部署別に工数入力の必要性や実際の操作方法を説明する時間を設けました。タイムシート(工数実績)の入力方式は各メンバーに任せていまして、Googleカレンダーと連携しているケースもあります。

入力のタイミングは、適時入力を求めています。ただ、忙しくて後回しにされてしまうことも多いため、毎週金曜日の夕方に必ず経営企画部からリマインドをかけています。

前田 憂 様(以下、敬称略):社内へのリマインドは、Slackのメッセージで必ず送っています。毎回同じ文をテンプレートで送信するだけだとスルーされてしまうため、時節にあわせた内容を添えることで興味を持ってもらうような創意工夫をしています。

新しく入社された方に、どのようなフォローをされていますか。

前田:弊社は月に2回、新しい社員が入社します。そのため、毎回オンボーディングをしていると積み重ねで膨大な時間になってしまうため、クラウドログの活用方法をレクチャーする動画を作っています。スライドに声を吹き込んだ簡単な動画ですが、視覚的にも聴覚的にも印象に残る工夫をしており、スライドで案内するよりもしっかりツールの定着に繋がっているのではないのでしょうか。

管理者(部長、PM)はどのようにクラウドログを活用していますか。

大矢:Salesforceと連携し、予実管理に活用しています。SalesforceからCSVでデータを抽出し、クラウドログに連携することで、プロジェクトごとの予算に対する現在の消化率をレポート機能で確認できるようになりました。

一部のチームでは、レポート画面をベースに会話していたり、予実の観点からプロジェクトの軌道修正をしたいという相談をもらったりと、クラウドログによって業務内容に変化が表れてきていると思います。

経理担当者への連携についてお聞かせください。

大矢:月末に入力を締め切り、レポート機能で工数に関するCSVをエクスポートし、いくつか必要な情報を付与して経理に共有しています。具体的には、プロジェクトごとの原価や販管費を判断するフラグなど、経理が計算する上で必要になる情報を加えています。

クラウドログの導入で、実績管理の負担が0になり、理想の管理会計を実現!

クラウドログ導入後の成果をお聞かせください。

大矢:スプレッドシートで管理していた頃は、案件の状況を把握しているメンバーにヒアリングをしてまとめていたので、管理する側である経営企画部の負担がとても大きかったのです。ヒアリングから取りまとめまで、毎月に半日ほどの作業時間が発生していました。

クラウドログ導入後は、より正確な実績を経営企画部が以前ほど苦労せずにまとめることができるようになっています。実績の取りまとめも必要なくなり、レポートをエクスポートするだけで済むようになっているので、実質的に負担は0になったのではないでしょうか。

最も大きな成果をお聞かせください。

大矢:より正しくプロジェクトごとの予実分析ができるようになり、理想とする管理会計に近づくことができたことが大きな成果だと思います。

クラウドログを導入する前の旧基準で処理をしていた頃は、プロジェクトが完成して初めて実績が把握できる仕組みのため、特に外注費や人件費がいくら掛かっているのかを適時適切に確認することが難しかったです。そのため、プロジェクトの途中では収支に関する問題を見つけにくかったのです。

しかし、新収益基準にあわせた業務フローをクラウドログで導入したことによって、開発進行途中でも改善が必要なプロジェクトが一目瞭然になりました。

管理会計でプロジェクト毎のPLを適時適切に把握することの重要性を訴えていたMoney Forward XのカンパニーCOOからも「組織として大きな進歩だね」との言葉をもらっています。

ビジネスが急成長・多様化している企業にこそ、クラウドログはおすすめ

今後の展望をお聞かせください。

大矢:クラウドログによって、今まで事業部単位という大きな枠でのPL管理しかできていなかったものが、プロジェクト単位の実績や予実管理を実現することができました。今後、ますますMoney Forward Xが事業として多様化し、成長していく上で、より一層適切な意思決定が求められます。

特にSaaSのビジネスモデルでは、先行投資の意思決定が重要になってくるため、より精度の高い情報が求められるのです。今後は、リアルタイムで得られるようになったプロジェクトの情報を、いかに業務プロセスの改善につなげていくかが重要になってくるのではないでしょうか。

どのような企業に、クラウドログはおすすめできるでしょうか。

大矢:弊社のように、ちょうどビジネスが急成長し、多様化している企業で、なおかつ管理会計がまだ整っていない企業にこそ、クラウドログはおすすめできるのではないでしょうか。

クラウドログによる工数管理で、プロジェクトごとにファクトの数字を可視化できると説得力がありますし、新しい発見から次の打ち手につなげられるようになったことで、経営企画が取るべきアクションの精度がさらに上がったと感じています。

株式会社マネーフォワード

https://corp.moneyforward.com/

設立:2012年5月
事業内容:PFMサービスおよびクラウドサービスの開発・提供

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